海外では無痛分娩が主流です。日本人でも海外で出産することになる人もいると思いますが、せっかく海外で出産するのでしたら、無痛分娩を選択するという人が多いかもしれません。
日本ではまだまだ自然分娩が主流なので、無痛分娩についての知識も少なく、異国の地での出産とあれば、なおさら心配も増すことでしょう。
ここでは、私がカナダで2度無痛分娩した際に得た知識と体験談を踏まえた海外での無痛分娩についてお話します。
記事の目次
無痛分娩は英語でpainless labor
しかし会話などではUsing Epidural
無痛分娩は英語でpainless laborとかpainless deliveryとか言いますが、日本のように「無痛分娩」とは言わず、「麻酔薬を使う」というように言います。なので、use epiduralとかuse dragsというように言います。
Epiduralとは
硬膜外麻酔のこと。発音はエピドゥル( èpɪd(j)ˈʊ(ə)rəl )。局部麻酔の一種で、出産や帝王切開などによく使われます。
Epiduralは麻酔薬の名前ですが、無痛分娩をしたい場合はこの薬を使うか使わないかと言うように聞かれます。
Do you want to use Epidural?とかAre you going to use Epidural?というように聞かれるので、使いたい場合はYes(使わない場合はNo)と答えればいいです。
無痛分娩をするメリット
無痛分娩をするメリットは出産の痛みが少なくなることですが、それ以上に何と言っても体への負担が少なくなることです。麻酔薬を使うことによってリラックスしてお産することができるので、産道も広がりやすく、分娩時間も1/2〜1/3とも言われています。
また麻酔を使わない自然分娩は痛みのため母親が過呼吸になると子宮内の血液量も減ってしまい、赤ちゃんが低酸素血症になるなどのリスクがあります。無痛分娩は母体だけでなく赤ちゃんにとっても負担が少ないお産になります。
日本では出産後5日程度入院するのが一般的だと思いますが、海外では産後1日〜2日で退院となることが多いです。私も1人目は2日、2人目は1日で退院しました。それもこれも、無痛分娩だったからです。退院後は体は疲れていましたが、普通に歩けたし、2人目出産後は家に帰ったあと掃除までしてました。
無痛分娩をしたい時はいつ言えばいい?
予定日が近くなると、検診の際に担当のOB-GYN(産科医)にEpiduralを使いたいかと聞かれると思うので、使いたいと申告しておくと良いでしょう。特に聞かれなければ、自分からEpiduralを使いたいと申告すれば良いです。
しかし事前に薬を使うかどうか決めてなくても、子宮口が開くのを待ってる間にも病院で改めて聞かれるので、最初薬を使わないと思ってても、陣痛の痛みに負けて?やっぱり使いたい!となっても使ってくれます。実際に私の義姉や友人も最初は薬無しでと言っていたけど、途中であまりの痛さに心変わりして使うことにしたようです。
こっちでは麻酔薬を使う出産のが一般的なようなので、特別先に用意してなくてもすぐに用意してくれるのがいいですね。
Epiduralを使用するタイミング
陣痛の痛みが強くなりだすのは子宮口が3〜5cm開く頃で、その前に麻酔薬を注入すると、ほとんど痛みを感じることなく出産が可能だそうです。
ただし、Epiduralの使用は特にいつしないといけないとは決まっていないらしく、赤ちゃんの頭が出てくる前までならいつでも好きなタイミングで使用することが可能だそうです。(参考:Epidural pain relief for labor | BabyCenter)
もし陣痛が激しくなる前に病院に到着して、すぐにEpiduralを使用したければ、陣痛の痛みが強くなる前に麻酔を使用することで痛みをほとんど感じなくても出産することができると思います。また出産ギリギリまで待って、ある程度陣痛を感じてから使用しても良いようです。
私が病院に到着した頃は、すでに3分感覚で陣痛が来てる状態で、子宮口をチェックする頃にはすでに5〜7cm開いてる状態でした。今回私がEpiduralを処方されたタイミングは、子宮口があと少しで全開というタイミングでした。ので、私はガッツリ陣痛は経験しました。
Epiduralの使用され方
Epiduralは背中にまず局部麻酔を注射し、そのあと脊髄に針を刺して硬膜外腔まで針を通し、そこにカテーテルを入れて、そこから麻酔薬を投入します。脊髄に注射されるのって、されたことがある人はわかるかと思いますが、ものすごい痛いんですよね。
私が処方されたタイミングは1分間隔でかなり激しい陣痛で来てる最中です。陣痛で痛くて苦しんでる最中に背中に麻酔の針を2回ほど刺され、チューブを入れられ薬を投入されました。
しかもこの脊髄に注射する時に体が動くととても危険らしく、”絶対に動かないように”と注意されて、さらに痛さで体が反射的に動いてしまわないように枕を抱えられ、ナースがその上からがっちりホールドして絶対に動かないように固定されて注射を打たれました。
この痛みの感じ方は人それぞれだとは思いますが、私はもうこれがメチャクチャ痛かった!陣痛の時もかなり痛かったですが、この注射の時は「あ”〜〜!!」と叫んでました。
しかし、この試練を乗り越えれば極楽が待ってます!あの陣痛で悶絶してたのが嘘のように楽ぅ〜になり、「陣痛が来てますよ」と言われた時も「感じません」と余裕の笑顔で会話ができます!(笑)むしろ寝ていいとも言われます。実際に私も分娩を待ってる間寝落ちそうになりました(笑)
針を入れられる時はすごく痛いけど一瞬ですし、後の数時間の陣痛と引き換えと思えば使うしかないでしょうね。
Epiduralを使うとどんな感覚になるの?
麻酔薬を投入されているので、少しポーっとする感じでちょっと気持ちいい感じになります。よく歯の治療の際に麻酔を打たれると思いますが、それが下半身全体にされたと思えばいいです。人によっては歯の麻酔でもハイになる人いますよね。
麻酔が効いてくると下半身は完全に麻痺して、触っても他人の体を触ってるような感覚になります。足を動かすことはできます。触ると温かいのに、感覚的には冷たい感じがします。
上半身は麻酔なしなので、子宮口が完全に開くまでは話したり携帯をいじったり、水を飲んだりすることもできます。
Epiduralの副作用
薬ですから、もちろん副作用があります。Epiduralの副作用は
- 足の感覚が無くなる
- 体が痒くなる
- おしっこが出しにくい
- 体温が上がる
- 低血圧
などがあります。
足の感覚が無くなるのは麻酔なので仕方ないですが、体温や血圧に関しては投薬中はナースが管理してくれているので、それほど気になりませんでした。
また体が痒くなるというのも、それほど酷くないです。私は鼻が痒くなったのですが、もともとアレルギーっぽいのがあったので、その延長上くらいでした。
オシッコに関しては、尿意が感じにくく、力んでも出しにくくなります。実際に私も一人目の産後にオシッコが出しにくくなり、産後1日には尿道にカテーテルを入れられましたが、2日目には何とか排尿できてすぐ退院することができました。
お腹を痛めないと子供に愛情が持てないとかいう日本の迷信について
日本で自然分娩が主流なのは、無痛分娩に対するガイドラインが無かったり、無痛分娩のスキルがない個人病院が多かったりすることも理由にあると思いますが、一番の理由は「お腹を痛めて出産しないと子供に愛情を持てない」とかいう都市伝説が信じられているからでしょうか。
お腹を痛めて産んだ子でないと愛情が持てないのだったら、海外で無痛分娩で生まれている子供はみんな愛情が無く育っていることになりますが、もちろんそんなことはなく、みんなとても愛情深く育てられてますし、自然分娩で生まれることの多い日本では虐待が無くなるはずですが、そんなこともないですよね。
日本は何でもかんでも気力や根性論で解決しようとする傾向がありますが、少子化が問題になってる今、そろそろ根性論を捨てて本気で子育てを支援するためにも無痛分娩を普及させたほうがいいと思っています。それに別に痛い思いをしなくても良いならしないほうが良いですしね。
出産時に痛い思いをしなくても子供には愛情を持てますし、実際私も自分の子供はすごく可愛く、この子の為なら何でもできると思ってます。お腹を痛めて産まないと愛情を持てないなんて、単なる迷信にすぎませんので、周りに何か言われても気にしないようにしましょう。