マンガ「医龍 22 / 乃木坂太郎」の感想

内容

手術台に横たわる、野口―――
万全を期してオペに入った、国立。
しかしその手術中、神と呼ばれる麻酔医・バウマンに持病の発作。
まさかのトラブルにあせる国立だが、状況管理を失った野口は、血圧が上昇。
そして、大動脈瘤破裂。
この絶望的な状況を前に、手術を見学していた加藤は、ある決断を下す。

感想

まさかの大動脈瘤破裂で、助かる見込みのない野口だと思われたが、まさかここで加藤先生が出てくるとは。

それも、野口に却下された術式でのオペ。
ここで、朝田の神業的な技術が出てくるかと思いきや、朝田の神業的なスピード・技術はもちろんだが、その術式は「プロキシマールファースト法」という、一度覚えてしまったら凡人にもできるという術式だった。

今まで、朝田の神業的な所業ばかりが目立っていたが、ここで、加藤の只者ではなさが現れてきます。

やはり教授選へ出馬するというほどのしたたかさ、思慮深さなどが、朝田を含め、最高のチームを作り上げたのだと。

この回で、なんと言っても見所なのは、伊集院。

加藤と朝田のオペは続行し、腸にできた塞栓を取り除く開腹手術を、研修医の伊集院が処置をするところでしょう。

今まで地味で普通だと思ってきた、たかが一端の研修医が、誰もが驚くような正確で早い処置をやってのけ、一同が驚きと畏怖の眼差しで見守るという。

まさに成り上がりのような展開。

手術は成功、野口はまだ目を覚ましていませんが、後半は、国立の息子、真悟のまさかの行動で、いきなりの急展開です。

助かった命もあれば、自ら投げ出す命もある。

まだ今後の展開で変わってくるとは思いますが、やはり、最後のコール音は、…そういうことなのでしょうか。

ここで、バウマンが言った

「誰かを育てろ」

ということが大きくかかってくるのでしょう。

朝田のその魂は、伊集院へと受け継がれたということが、今回の公開手術でもわかります。

終結に向け、一歩を踏み出した回でした。
さらに次巻が待ち遠しくなりました。

追記:2010/3/3

なぜか「プロキシマールファースト法」という単語で、検索してくる方がいるようですが、私自身はよくわかりません。
なので、作中にあった説明を補足しておくと、

<プロキシマールファースト法>
灌流(かんりゅう:血液や液体を組織や臓器に流すこと)可能な血管から血流を再開し、
虚血時間をさらに短縮する術式。
今回の野口の手術は、
まず、左総頸動脈(ひだりそうけいどうみゃく)を真っ先につなぎ、わずかでも血液の循環を開始する。
続いて左鎖骨下動脈、無名動脈(大動脈から分枝する動脈)と吻合(ふんごう)していき、その都度少しずつ血液を循環させていく。
人口肺の回路や手術の手順は複雑になるが、術中の虚血時間は従来に比べて大幅に短くなる。
一度理解してしまえば誰にでもでき、なおかつ時間に余裕をもって安全に手術ができる。(作中引用)

とのこと。

あと、これは推測ですが、
プロキシマール⇒ proximal:最も近い、近位の
ファースト⇒ first:第一の、最初の、先に
で、「最も近いものから先にする」術式ということなのでしょうか…。
(どなたか詳しい方いらっしゃいましたら、ご訂正ください。)

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乃木坂 太郎
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