本「こころ / 夏目漱石」の感想

内容

親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶ孤独な明治の知識人の内面を描いた作品。鎌倉の海岸で出会った“先生” という主人公の不思議な魅力にとりつかれた学生の眼から間接的に主人公が描かれる前半と、後半の主人公の告白体との対照が効果的で、“我執”の主題を抑制された透明な文体で展開した後期三部作の終局をなす秀作である。
然し……然し君、恋は罪悪ですよ。
解っていますか。

感想

学問に富んでいながらも、哀愁を感じさせる男「先生」。

「私」は、先生に学びを乞おうと足しげく通います。

ついに身の内を聞きだせることになったはいいが、父親が倒れ、故郷へ戻らねばならなくなります。

父親の容態が優れず、戻ることができない中、先生から幾重にも亘る手紙が届きます。
そこには、決して語られることがなかった、先生の生涯が綴られていました。

「精神的向上心のない者は馬鹿だ」

Kが「道」の為、自分に課していた銘ですが、私が好きな言葉のひとつです。

人を信じられず、欲に汚い人らを軽蔑していた「先生」でしたが、
友人「K」への嫉妬心から、卑怯で姑息な人間に成り下がってしまう。

友人を心配するフリをしながら、自分のことだけを心配し、
あたかも正論をぶつけ、追い詰めておき、裏る。

それは、今まで自分が卑しいとしてきた人間そのものだった。

嫉妬、焦り、欲望、「欲」は人を狂わせる。

我にかえった時はすでに遅く
取り返しのつかない事態に嘆き悲しんでも、時間が戻るわけでもない。

その業を一生背負って生きていくしかない。
人間は裏切るのだ。

非情にも、Kを死なせてしまったことに対しての罪悪感よりも、
自分が最も軽蔑していた者へ落ちてしまったことに対する幻滅のほうが、
この男には重ったようです。

手紙は
「私が死んだ後でも、妻が生きている以上は、
あなた限りに打ち明けられた私の秘密として、
凡てを腹の中にしまって置いて下さい。」
で締めくくられています。

自分の過去をひとの参考にするという理由で書してますが、
これを語ることは、すなわち相手にもその業を背負わすことと知りながら、
しかしながらやはり救いが欲しかったのでしょう

懺悔し、自分の業を軽くしたい為の我侭なように感じます。

これを読んだ「」は、いったい何を思ったでしょうか。

結局のところ先生と呼ばれるこの男は、最後まで自己中心だったと思えてならない。
流されているだけの「私」のほうがよっぽどマシに思えてくる。

またそれが人間臭くもあり、嫌悪は抱くが、自己への戒めにはなるでしょう。
結局のところ、先生が意図するところであったというわけです。

こころ
夏目 漱石
出版社: 集英社 (1991/2/25)
Kindle版 / 単行本 / 文庫 / CD
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