本「神様のカルテ / 夏川草介」の感想

内容

神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる。
夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中。読んだ人すべての心を温かくする、新たなベストセラー。第十回小学館文庫小説賞受賞。
言葉とともに、ぽたりと落ちたものは涙であった。
癌だと告げた時も、痛みが出たときも、けして悲しみを表に出さず
穏やかだったあの安雲さんが泣いていた。

Continue reading

本「こころ / 夏目漱石」の感想

内容

親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶ孤独な明治の知識人の内面を描いた作品。鎌倉の海岸で出会った“先生” という主人公の不思議な魅力にとりつかれた学生の眼から間接的に主人公が描かれる前半と、後半の主人公の告白体との対照が効果的で、“我執”の主題を抑制された透明な文体で展開した後期三部作の終局をなす秀作である。
然し……然し君、恋は罪悪ですよ。
解っていますか。

Continue reading

本「人間失格 / 太宰治」の感想

内容

「恥の多い生涯を送ってきました」3枚の奇怪な写真と共に渡された睡眠薬中毒者の手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていました。無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。次々と女性に関わり、自殺未遂をくり返しながら薬物におぼれていくその姿。「人間失格」はまさに太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の1か月後、彼は自らの命を断つ。
いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎて行きます。

Continue reading